生鮮食品の表示について~知っておきたい農産物・畜産物・水産物の原産地表示ルール~

より良い食べカタ

スーパーで食材を買うとき、その食材に「〇〇県産タマネギ」とか「ノルウェー産甘鮭」などというシールが貼られていますよね。

ではビニールパックになっておらず、段ボール箱に積み上げられたブロッコリーや発泡スチロールのケースの氷水に使ったサンマなどはどうなっているかパッと思い出せますか?

各種食品には、それぞれその分類によってどのような項目を明確に表示しなければならないか、食品表示法で決まりがあります。

私たちが日々食材を購入する際、このような表示のルールを知っておくことはとても大切です。どのようなルールになっているのか、農産物、畜産物、水産物のそれぞれについてひとつひとつ確認してみましょう。

生鮮食品の表示の共通ルール

生鮮食品を販売するときには、その「名称」と「原産地」など決められた表示をすることが、食品表示法で決められています。

同じ種類の生鮮食品で、複数の原産地のものが混在している場合・・・あまりないかもしれませんが、例えば、長野県産のトマトと茨城県産のトマトを仕入れて、同じカートで一緒くたに販売するようなことがあったとしたら、総量に占める割合の多いものから順番に、すべての原産地を表示しなければなりません。

仮に先ほどの例で、長野県産のトマトが9割、茨城県産のトマトが1割だった場合は、「長野県産、茨城県産」と表示します。「長野県産、他」、「長野県産、その他」などの表示は認められていません。

そして、その表示方法は、包装容器の見やすい場所に表示するだけでなく、その商品を販売している場所に掲示や立て札などで表示することも可能です。

ですので、 段ボール箱に積み上げられたブロッコリーや発泡スチロールのケースの氷水に使ったサンマなどは それぞれの段ボールや発泡スチロールケースのすぐそばに札などで「埼玉県産ブロッコリー」や「三陸沖サンマ」などと表示すればよいわけです。

また表示には漢字・ひらがな・カタカナを使って誰にでもわかる日本語での表現が必要です。「USA」、「US」、「AUS」などの表示は認められていません。

<ポイント>生鮮食品の原産地は必ず食材に記載されています。購入の際には確かめてみるようにしましょう。

農産物の表示ルール

農産物においては名称と共に原産地の表示が必要です。原産地の表示は、国産品の場合はその都道府県名を、輸入品の場合は原産国名を表示することになっています。

国産品の場合、都道府県名の代わりに市町村名、その他一般に知られている地名の表示も認められています。

例えば「津軽産リンゴ」(一般に知られている地名)のような表示の仕方ですね。

同様に輸入品についても、産地が一般に知られている地名の場合は、原産国名の代わりに原産地表示をすることができます。「カリフォルニア産オレンジ」のような表示の仕方です。

<ポイント>農産物の原産地は、国産品に場合は都道府県名(市町村名、その他一般に知られている地名表示も可)、輸入品には原産国名(一般に知られている地名表示も可)が表示されています。

畜産物の表示ルール

畜産物も、農産物表示と同様に、名称と原産地を表示しなければなりません。

名称には食肉の種類、つまり「牛」、「豚」、「鶏」などの表示をする必要があります。「肩」や「胸」などの部位の表示、また「すき焼き用」、「カレー・シチュー用」などの用途の表示は食品表示法では必須とされていません。こちらの記載は業界や店舗の自主ルールやサービスによるものです。

原産地は、国産品には「国産」または「国内産」と表示することになっていますが、都道府県名または市町村名の表示でもよいことになっています。また、牛肉の産地として有名な「松阪」、「米沢」、「神戸」などのような飼育地名も、原産地に代えての表示が認められています。

畜産物の原産地は、最も長く飼育された場所(=飼育地)を記載します。つまり、生まれが外国で日本に輸入された畜産物の場合で、外国で育った期間より日本で飼育されている期間のほうが長ければ国産畜産物としてその国内の飼育地が記載されます。

輸入品の場合は、必ず原産国名を表示しなければなりません。畜産物の輸入品に関しては国名以外の表示は認められていません。また「アメリカンビーフ」、「オージービーフ」などの名称を原産国の代わりとすることもできません。「アメリカ産」、「オーストラリア産」と記載したうえで「アメリカンビーフ」、「オージービーフ」などの記載と併記することは可能です。

<ポイント>畜産物の原産地は、国産品には「国産」「国内産」(都道府県名、その他一般に知られている地名表示も可)、輸入品には原産国名が表示されています。

原産地は、最も長く飼育された場所(=飼育地)を記載します。外国生まれの畜産物も、日本での飼育が長ければ国産の表示となります。

水産物の表示ルール

魚介類については、名称・原産地の他に、養殖されたものには「養殖」、一旦冷凍したものを解凍した場合には「解凍」と表示する必要があります。「天然」、「冷凍」の表示は任意です。

原産地の表示については、国産品の場合は漁獲された水域名(太平洋、瀬戸内海、日本海、三陸沖、宍道湖 など)、水域名の特定が困難な場合は水揚げをした漁港名(焼津港、銚子港、境港 など)または当該漁港が属する都道府県名を表示します。養殖物の場合は、養殖場のある都道府県名となります。

輸入品の場合は、原則として原産国名を表示することになっています。原産国に併記して水域名を表示することもあります。(タイ産・インド洋 など)

<ポイント>水産物の原産地は、国産品には漁獲された水域名・水域の特定が困難な場合は水揚げされた漁港名/都道府県名、養殖の場合は養殖場のある都道府県名が記載されています。輸入品には原産国名が表示されています。

冷凍されたものを解凍して販売する場合は「解凍」、養殖の場合は「養殖」と表記されます。

生鮮食品の原産地は必ず食材に記載されています。基本的なことではありますが、どんなものがどんな産地で作られているのか、購入の際には確かめてみるクセをつけてみてはいかがでしょうか。産地を考えることで食のこれまでと違った世界が見えてくるかもしれません。

少しでも新鮮な食材を選んだり、輸送コストがかける環境への負担などを考えるのであれば、ご自身の住んでいるところからなるべく近いところの食材を選ぶ、という考え方もあります。

また、産地ごとに味や風味の異なる食材もありますから、そういうこだわり方もありますね。

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