高たんぱく・低カロリー・鉄分豊富で汚染の可能性が低い食肉、馬肉に注目しています

カラダにいい食べモノ

肉を加熱料理するとAGE(最終糖化産物)が発生するので、食べるなら生食ができる栄養価の高い安全なものが理想的です。(AGE(最終糖化産物)については過去の記事「老化促進物質「AGEs(エイジス)」=「最終糖化産物」とは?」をご覧ください)

そこで今注目されているのが馬肉です。

馬には寄生虫や雑菌が寄り付きにくく、抗生物質を必要としません。また抗原度が低いためアレルギーを起こしにくいのも利点です。
※「抗原」=生体に免疫応答を引き起こす物質、即ちアレルギーを起こす物質のこと

馬肉の栄養価は非常に高く、リノール酸、αリノレン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸が豊富。ビタミンA、ビタミンE、鉄分、カルシウム、グリコーゲンも豊富で牛や豚の数倍もあります。馬肉はもっとも汚染の可能性が低い生食に適した食肉と言われているのです。

そんな馬肉について詳しく見ていきましょう。


馬肉文化について

馬肉を食する習慣が古くから根付いているのは、熊本、会津、長野です。

国内における馬肉生産量第1位は熊本県。古くは400年前の加藤清正の時代から馬肉が食されてきたと言われています。熊本と言えば馬刺し、おろしにんにくとショウガを薬味として、九州特産の濃くて甘い醤油につけていただくのが鉄板です。

そして第2位は福島県。特に会津が有名です。熊本の馬肉は霜降りが主流ですが、会津の馬肉は「赤身肉」。唐辛子やニンニクで作られた「辛味噌」で食べるのが会津流です。

長野県は馬肉の生産量としては全国5位ですが、南部を中心として馬肉文化が発展してきました。馬肉のすき焼きが好んで食べられてきたようです。

その他東京をはじめ山梨、青森でも馬肉料理は親しまれてきました。

馬肉が健康食品として注目されるわけ

純粋に食材としても美味しい馬肉ですが、その栄養価の高さも注目されています。

下の表は、文部科学省「五訂増補日本食品標準成分表」から抜粋した可食部100gあたりの数値で、牛肉・鶏肉との比較をしたものです。牛肉は赤身部分、鶏肉は皮なしの数値です。これを見ると、馬肉のカロリー・脂質は低く、タンパク質は遜色なし、鉄分がとても高いのが分かります。

特に、カルシウムと並んで日本人に不足値がちなミネラルである鉄分が多く含まれているのが特徴。鉄分は貧血予防に欠かせません。低カロリー、高タンパク質、鉄分豊富となれば女性に嬉しい食材ですね。

その他、疲労回復に効果的なグリコーゲンも豊富に含まれています。

馬肉の安全性が高い理由

馬肉の安全性が高いのはその特性にあると言われています。ひとつは馬が「奇蹄類」であること、もう一つは「反芻動物でない」ことです。

「奇蹄類」であるということは、「口蹄疫」に感染しない、ということです。

「口蹄疫」とは、

口蹄疫ウイルスが原因で、偶蹄類の家畜(牛、豚、山羊、緬羊、水牛など)や野生動物(ラクダやシカなど)がかかる病気です。

口蹄疫に感染すると、発熱したり、口の中や蹄の付け根などに水ぶくれができたりするなどの症状がみられます。

口蹄疫にかかると、子牛や子豚では死亡することもありますが、成長した家畜では死亡率が数%程度といわれています。しかし、偶蹄類動物に対するウイルスの伝播力が非常に強いので、他の偶蹄類動物へうつさないようにするための措置が必要です。

(農林水産省ホームページより)

また、「反芻動物でない」ことによって、腸管出血性大腸菌(O-157)のリスクも低いと言われています。反芻動物のように複数の胃を持たないことがその理由だと考えられています。厚生労働省の資料によると、平成11年度~平成22年度に実施された市販食肉等の調査でも、馬刺しから腸管出血性大腸菌は検出されていません。(サンプル数692)

また、食肉による細菌性食中毒の原因となるカンピロバクターについても、上記の厚生労働省の調査では馬肉からは検出されていません。

もちろん食中毒の原因となる菌は他にもあるので馬肉が完璧だとは断言できませんが、腸管出血性大腸菌とカンピロバクターのリスクが低いということは、生食において非常に注目すべき点なのです。

「桜肉」を食べてみよう

馬肉のことを「桜肉」と呼びますが、この理由にも諸説あるようです。肉を公に食べられなかった時代に、隠語として「桜」と言うようになった、というのが一般的なようです。イノシシを「牡丹」というのと同じですね。

ではなぜ桜なのかというと、馬が餌をたくさん食べて冬を越し、脂が乗っている桜の季節の馬肉が一番おいしいから、というのが定説のようです。またその肉の色が桜のように赤く美しいことから、という説もあります。馬肉の色が赤いのは、鉄分が豊富な証拠です。

色々な食品安全上の理由から、生肉を食べられる機会が減ってきていますが、その中で馬肉は生食ができる貴重な食材です。

火を通してしまうと栄養価が損なわれたり、何よりAGE(最終糖化産物)が気になるところです。美味しくて安全な馬肉から、良質なタンパク質や鉄分を摂取したいですね。

参考書籍:馬肉新書(社団法人日本馬肉協会監修)

(2018年11月27日・ライス)

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